《人の心をどう育てるのか》

 心とは何でしょうか。辞書では「知・情・意の働くところ」が「心」とあります。今は心の教育はされず、「知」だけです。「情」「意」は無視されています。
 福岡市の井尻には、「しいのみ学園」というところがあります。昭和三十年代に松竹映画がとりあげて、そこの園長先生は昇地三郎先生いいいます。
 この昇地三郎先生は福岡教育大学の名誉教授で医学博士でもあります。重度障害児の研究とりくみ、有名な「ゆさぶりの教育原理」という論文を書き、文学博士にもなられました。文学博士で医学博士・哲学博士でありますが、こういう方は少ないですね。
 皆様方よくご存じと思いますが、武田哲也というタレントさんがいますね、あの方はこの福岡教育大学の出身です。この昇地三郎先生の教え子でございます。
 二十年程前、私はこの昇地先生のご自宅を尋ね、「教育の原理について教えて下さい」とお願いしました。その時に聞いたのがこのお話です。
 人間の心というのは、知・情・意の働くところである。なるほどそうです。ちょっと考えてみて下さい。今の日本の教育は知識だけじゃありませんか。テスト、テスト。進学、進学。「情」「意」が無視されている。「情」「意」が不安定で知識だけをつめこんだらどうなるか、それは単なる悪知識になりやすい。「情」「意」が安定してはじめて人間の正しい知恵が育つのだと。「知」「情」「意」のバランスのとれた人間を育てる。このことが一番肝心なことであると。それが抜けている。
 これはその折、昇地先生に教えていただいたことでありますが、今の日本を見ておりますとまさにその通りですね。


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