《モーゼスおばさんの絵》
その人の名はアンリー・メアリー・モーゼスさんです。通称、グランドママ・モーゼス。日本でいうおしんおばさん。赤貧あらうがごとき生活をして、一二歳の時女中奉公にやられ、奴隷のごとく使われた。
モーゼスさんは、二十七歳の時に、下男奉公の男と結婚したんです。十人の子供をまずしい中で、一生懸命に育てた。六十七歳の時、夫に死にわかれ、このおばさんは、末っ子の家で裁縫やあみものをして、くらしていたのです。
七十五歳の時、関節性リュウマチなり、何もできなくなりました。家の中で何かできることはないかと探している時に、たまたま家に置いてあったペンキで板きれに絵を描いた。
家の外に偶然おかれてあったその絵を通りすがりに見たニューヨークの画商がつかつかと家に入ってきて、
“絵をかいたのは誰ですか?”
“うちのおばあちゃんですけど。”
“あの絵をわけてほしい。専属契約をしたい。絵は思うままどんどん描いて下さい。幾らでも買い入れます。”
田舎の、年をとったおばあさんが俄然、絵かきとして有名にまりました。
百一歳で亡くなるまで、幼い日の郷愁を誘う絵を、二十五年間、せっせと描き続けました。その絵がクリスマスカードになって今でも毎年三五〇〇万枚も売れています。
ルーブル美術館にアメリカ人で初めて絵を買いあげられた画家は、アンナ・メアリー・モーゼスおばさんです。
なぜ、学校のテスト位で人をきめつけてしまうのか。
山下清は知能指数は五十しかない。(国連発表によれば日本人は一二五が知能指数の平です。)
山下さんはルーブル美術館でいつも個展を開くことを許されている日本で唯一の画家です。
偏差値というたったひとつの物さしで人を計ってしまう愚かさに気づいてほしいのです。
この子のもっともよいところはないかと探して下さい。
その子の個性を引き出すいとなみを、つづけて下さい。実現可能な目標を与え希望を与えて頂きたいのです。
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